台湾の賢人たちのコトバ -Interview- 台湾デジタル担当大臣 オードリー・タン

今回は、awoo Japan CEOの林思吾(以後、マイク)が台湾デジタル担当大臣オードリー・タン氏(以後、タン氏)にインタビューを実施した。マイクが発した様々な質問に対して、彼女の口からは、ウィットに富んだ表現で、本質的な答えが次々に返ってきた。その言葉の端々には、彼女の「開かれた台湾政府」「ソーシャル・イノベーション」「若者たちの政治参加」に対する強いこだわりが垣間見れた。そのインタビューの模様の一部をブログに掲載する。

“ユーザーファースト”な政治

マイク : 台湾のコロナ対策の成功の要因は、あなたの、政府と国民の間に立つコーディネーター的役割によるものが大きいと思います。今回のように、政府が国民の意見を積極的に聞き入れる方法は、コロナによって実現できたことなのでしょうか?今後も継続的にこの方法を取り入れた方が良いと思いますか?

タン氏:以前からその方法をとっていました。まずはやってみよう!というところから始めたものです。例えば2017年5月、私がデジタル担当大臣になったばかりの頃、当時の税務申告システムは非常に使いづらいものでした。MacやLinuxでは、納税申告書を提出することができなかったのです。これにより多くの人から批判を受けました。当時政府は「Participation Officer」システムを開発し、このPOシステムを使って、ユーザーのフィードバックを収集したり、使いずらいところを整理してジャーニーマップを作ったり、ユーザーと共にシステム改善を行うことにしました。そして翌年、新しい納税申告システムをリリースすると、サポート改善率が98%に達しました。

これは、公共部門のデジタルサービスとしては前例のないケースです。時々政府は、国民が何を望んでいるかを認識できていないので、皆さんの意見を集めて改善するという方法は正しいプロセスだと考えています。こうした改善プロジェクトの数は、すでに100個近くあります。

マイク:そうした方法は、過去の政府の意思決定プロセスとは大きく異なりますよね。今後もこの新しいアプローチを続けていくのでしょうか?

タン氏:もちろん。国民と政府、両者が重視するポイントは全く異なることもあります。例として税務申告を取り上げます。システム業者が最初に考えたのは、システムに大量の流入があった場合に安定性をどう維持するかでした。人件費とその他コストのほとんどがそこに投下された結果、ユーザーインターフェースの改善までは考えられませんでした。そこで、政府がよりオープンな姿勢になって広く情報を収集したら、税務申告が2つの期間に集中していることが分かりました。そしてハードウェアの保守コストを下げることで予算を抑制し、その予算をインターフェース改善に当てることができました。こうした結果は今のアプローチによってよりいい影響を与えます。

人工知能への投資

マイク:近年、政府は数多くのAI企業に出資していますが、あなたは人工知能(AI)をどのように捉えていますか?

タン氏:私は人工知能(AI)を「補助的知識」だと考えています。人々と、人々の価値観が中心にあり、それに対して補助的に知識を提供しているような、助手のような存在です。

台湾の人々は新しいものを比較的素直に受け入れます。最近人気のあるクラウドファンディングからもそれは伺えます。しかし、人々が受け入れた人工知能が、もし社会に良い印象をもたらさなかった場合は、我々政府は簡単に民間から批判を受けるでしょう。人工知能は社会にとって良い影響をもたらすべきなのです。

マイク:優秀な台湾AI科学者たちの類まれな想像力と、国民全体の人工知能に対する積極的な姿勢、この2つが社会に対して良い影響を与えるとともに、やがて不適切なものを除外していくのだと思います。

タン氏:そうですね、未来の世代を犠牲にする人々、不利な立場にある人々を犠牲にする人々、台湾ではそうした人たちのマーケットは存在しません。

加えて、台湾人の「おせっかい」な性格、多くのことについて個人の意見を表明したがる姿勢。このブレーンストーミングを通したエネルギーは台湾の発展をより良い方向に促進することができるのではないでしょうか。政治に無関心な場所では、それを達成するのは容易ではないかもしれませんね。

 

台湾デジタル担当大臣 唐鳳(オードリー・タン)

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