日本のトップマーケターからの提言 -Interview-「偶発消費への挑戦」鈴木睦夫

鈴木睦夫
オムニコミュニケーションコンサルティングオフィスPresident & CEO

1988年にP&Gでキャリアをスタートし、NTT/IMJ/コカ・コーラと一貫してマーケティングおよびデジタルマーケティング領域を歩みながら、2015年に日本郵便に転じ、DM市場拡大をミッションにデジタルとアナログの組み合わせ有用性と最適解を発信。DMに限らず全てのマーケティングコミュニケーションのオムニ化を目指して、2018年7月に独立しイーリスコミュニケーションズ株式会社を設立。2020年4月、全てのマーケティングソリューションと等距離を保ちながら、真のオムニコミュニケーションを実現することを目的に、Omni-Communication Consulting Office(略称OCCO)President & CEOとしての活動を開始。

コロナショックによって消費者の購買行動に大きな変化が起きた。それによりデジタルを使った小売業界の変革は今後ますます加速していくだろう。このゲームチェンジをどう乗り越えるべきか、企業ごとに戦略の見直しと再定義が迫られている。この特集は、そうした小売業界の変化をうけて、今マーケターは何をすべきなのか、トップマーケターの方々から提言をいただく企画である。今回は、オムニコミュニケーションコンサルティングオフィスPresident & CEOの鈴木睦夫さんに話を伺った。
(インタビュアー:awoo Japan吉澤)

吉澤 まずはじめに、鈴木さんの社名にもある「オムニコミュニケーション」の意味について教えてください。

鈴木 その前にオムニチャネルという言葉についてお話すると、ユーザーを中心に、彼らが欲しいものを、いつでも、どこでも、好きなように、好きな方法で購入できる環境を作ることがオムニチャネルの本来の意味になります。「ECとリアル店舗の融合」というだけの意味合いで使われることもありますが、厳密にはそうではなく、もっと本質的です。

確かに今はリアル店舗とネット通販の2つがメインなので、そういう捉え方になるのもわかりますが、将来何が起きるかわかりません。サプライチェーンの構造自体が変わる可能性だってあるし、チャネルを限定するのは間違っています。ECや店舗はあくまで手段であって、どんなチャネルであろうと、ユーザーが常に中心にいて、いつでも商品を手に入れられる環境を作ることがオムニチャネルの考え方です。

そしてマーケティングコミュニケーションもオムニ化する必要があると思っています。広告は邪魔者です(笑)。オムニの真逆だからです。欲しくない情報を欲しくないタイミングで押しつけられたら、誰だって嫌ですよね。だからいろんな広告手法で今まで研究されている訳です。コミュニケーションも、タッチポイントとなるチャネルごとではなく、ユーザー中心でオムニ化すれば邪魔者ではなく有用な情報に変わると思います。

吉澤 なるほど。チャネルに囚われず、顧客中心のマーケティングをすべきということですね。

鈴木 そうです。そのためにはユーザーのことをしっかり理解しないといけません。だからこそデータをしっかり取得し、インサイトを得て、有意義に活用するよう設計しないといけません。そうじゃないと単なる商品の押し付けになってしまうからです。誰しも欲しくない情報を欲しくないタイミングで受け取りたくないですから。リマーケティングやレコメンデーションなど色々なものも一つの手段ですが、クッキー情報だけでは買ったばかりの靴のバナーに追いかけまくられるみたいなことが起こります。様々なデータを統合することで、快適なコミュニケーションをユーザーと取る必要がある訳です。それをコミュニケーションのオムニ化と呼んでいます。ユーザーが欲しい情報を彼らが欲しいタイミングで自然に受け取れるように、ユーザーの横に情報をそっと置いておく。そしてユーザー自らがその情報を自分のタイミングで手に取る。これが「オムニコミュニケーション」です。

吉澤 ありがとうございます。実現するにあたり、どのような課題がありますか?

鈴木 オムニコミュニケーションにとってデータは最も重要です。単一的なデータだけ収集していてはユーザーによりよい体験は届けられません。様々なデータを統合し、膨大なビッグデータを処理して解析することが求められます。そのためには、やはりAIの活用は不可欠になるでしょう。

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